全面禁煙化で飲食店の売上はどうなる?

2020年に全面施行される東京都の受動喫煙防止条例をはじめ、禁煙化が進むなか、飲食店のオーナーからは「禁煙化によって、売上が落ちるのではないか」という不安の声があがっています。
しかし、早くも禁煙化に踏み切った飲食店からは、「売上は落ちるどころか、上がっている」という声も聞かれます。
そこで、禁煙化によって、飲食店の売上はどうなるのか、その実態を探っていきます。

『受動喫煙防止条例案』が可決され、8割以上の飲食店が対象に

2018年6月、東京都では『従業員を雇う飲食店は原則屋内禁煙であること』を定めた『受動喫煙防止条例案』を可決しました。
対象となる都内飲食店は、8割以上にも及ぶといわれています


「うちは、これまで喫煙でやってきたから……」と言って、無視するわけにはいきません。
なぜなら、罰則付きの条例だからです。
違反した飲食店には5万円以下の罰金が課せられます。
東京都では2019年より段階的に飲食店の禁煙化を推し進め、東京オリンピック開催の年である2020年4月1日には全面施行される予定です。
飲食店の禁煙化を目指しているのは、東京都だけではありません。
健康意識が高まり、受動喫煙が身体に及ぼす害が周知されるにつれて、禁煙化の流れは全国各地に広がっています。
そのため、飲食店は早くも戦々恐々としています。
というのも、店舗を禁煙にしてしまうと、喫煙客が寄り付かなくなり、売上が落ちてしまうかもしれないと危惧しているからです。

男性の喫煙率はピーク時の約3分の1

JTが実施した『全国たばこ喫煙者率調査』によると、2018年5月時点の全国の喫煙者率は男性27.8%、女性8.7%、男女計17.9%でした。
男女計では前年と比べて、0.3ポイントも喫煙者率は減っています。
ピーク時の1966年の全国の喫煙者率は、同じくJTの調査によると男性 83.7%、女性18.0%でした。
今とピーク時を比べると、男性は3分の1女性は半分以下に減っていることが分かります。
この傾向は、健康意識の高まりや規制の強化などによって、ますます進んでいくと思われます。

そもそも喫煙者よりも非喫煙者のほうが圧倒的に数は多いのです。
ならば、非喫煙者に向けてアピールしたほうが売上は伸びるのではないでしょうか。
実際、タバコの煙で健康を害し、衣服や髪に臭いが付着したりするのを避けるため、喫煙店での外食をしない層もいます。
実際、いち早く禁煙化した飲食店の中では、「家族連れや女性客が増えた」という声も聞かれるほどです。

全面禁煙化で成功したチェーン店

2018年6月、居酒屋チェーンの『串カツ田中』が全面禁煙に踏み切りました。
居酒屋といえば、喫煙者との相性がよいとされている業態のため、飲食店の中でも特に禁煙化による売上減が不安視されていました。
そのため、『串カツ田中』の動向には注目が集まりました。
その結果はというと、客数は前年同月比で6月2.2%増、7月4.1%増、8月12.1%増です。
売上高に関しては6月は2.9%減でしたが、7月1.9%増、8月9.7%増と好調。
ただし、客単価は6月5%減、7月2.1%減、8月2.1%減となっています。
客単価こそ減ったものの、客数、売上高は増えているので、『串カツ田中』の全面禁煙化は成功したといえるでしょう。

とはいえ、『串カツ田中』では、家族連れに訴求するために、土日の開店時間を早めたり、子ども向けのサービスを打ち出したりしています。
ただ単に店内を禁煙化するのではなく、新たな顧客層を取り込むための工夫を凝らす必要はあるでしょう。

また、現在、モスフードサービス、ケンタッキーフライドチキン、サイゼリアなどでも全店舗・全面禁煙化を進めています。
こうした取り組みに対して、家族客からは歓迎する声も多数出ています。

これらの例からわかるように、禁煙化だけが原因で顧客が離れ、売上が下がるわけではないのです。
ただし、『串カツ田中』のように工夫も大切。
禁煙化する際には、自店舗に合わせた+αのサービスを提供し、喫煙者に代わる新たな顧客層にアピールしてみてはどうでしょうか。

※本記事の記載内容は、2019年7月現在の法令・情報等に基づいています。